相談事例
CASE
2019.1 山上 の回答
2018年(平成30年)11月30日、公証人法施行規則13条の4が新設され、公証役場における定款認証の方式が変わりました。この対象になるのは、株式会社、一般社団法人、一般財団法人であり、これらの法人を設立する際の原始定款の認証が、新たな方式の対象になります。
具体的には、定款認証の嘱託人(定款の作成者、紙定款に発起人が記名押印すれば発起人、電子定款に作成代理人(士業者)が記名押印(電子署名)すれば士業者)は、新たに設立しようとする法人に関し、法人成立の時に実質的支配者となるべき者について、その者の氏名、住居、生年月日等と暴力団員等に該当するか否かを公証人に申告しなければなりません。
今回の改正は、法人の実質的支配者を把握することによって、法人の透明性を高め、暴力団員や国際テロリストによる法人の不正使用、マネーロンダリング、テロ資金供与を抑止することにより、日本の経済活動に対する国際的な信用を向上させるためといわれています。「株主リスト」、「役員の本人確認証明書」の添付に続く第3弾です。
法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある自然人のことで、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則11条2項」に定義されています。
① 議決権の直接保有及び間接保有が50%を超える自然人
② 上記①がいない場合、議決権の直接保有及び間接保有が25%を超える自然人
③ 上記①②がいない場合、出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人
④ 上記①~③がいない場合、設立する株式会社を代表し、その業務を執行する自然人
①’ 出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人
②’ 上記①’がいない場合、設立する法人を代表し、その業務を執行する自然人
対象法人を設立する場合、ほとんどのケースでは、当法人が公証人に対して実質的支配者の申告を行うことになると思われます。そのため、発起人のみなさまに運転免許証等の本人確認書類のご提出や事情の聞き取り等を行う必要があります。ご面倒をお掛けいたしますが、ご協力をお願いいたします。