所員雑感
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2008.1 櫻井泰治郎
当法人の商号には「国際」という文字が入っています。皆様によく「なぜ「国際」なのですか?」とご質問を頂きますが、それは外資系の金融機関に勤めていた私がいる関係で、外国人や外国会社(以下、「外国人等」といいます。)に関係する以下のような業務が比較的多いためなのです。
① 外国人等や外国に住む日本人が日本の不動産を購入又は売却する場合の登記
② 外国人や外国に住む日本人が日本国内に所有する不動産の相続登記
③ 外国人等が日本で会社を設立して事業を始める場合の設立登記、外為法の手続
④ 外国人が日本に在留し、日本で活動ができる在留資格認定、変更、更新手続
⑤ 外国人が日本国籍を取得するための帰化手続
⑥ 登記簿謄本、戸籍謄本、契約書等の英文への翻訳業務 など
国際業務の特徴は、司法書士の業務と行政書士の業務が密接に連動していることです。特に上記③と④は密接にリンクしています。例えば、依頼者の会社の設立登記ができたとしても、依頼者本人が「経営・管理」の在留資格が取れず日本に来て仕事ができなければ意味がありません。この場合には、「経営・管理」の基準を満たす会社の設立をアドバイスさせて頂いております。
また、設立時の資本金が海外から送金されれば日銀への届出が、取扱う業務が中古車の販売等であれば古物商の許可取得、と様々な許認可、届出等が必要です。外国人が日本に来てスムーズに業務を始めるためには、登記、許認可、届出すべてがワンストップでできる必要があります。ところが、外国人の方を相手として種々の法律手続きをするには、様々な困難が待ち受けています。外国人で日本語を十分に理解できる人は少ないため、先ず日本の制度を理解していただかなくてはなりません。ただ単に語学ができるというだけでは、これらの困難は乗り越えられません。
外国人が関与する事案を処理する場合には「出入国管理及び難民認定法」や日本法と外国法の適用に関する調整を定めた「法の適用に関する通則法」といった日本の法律知識のみならず、それぞれの国の異なる法律制度への理解と知識も必要です。具体的には、外国人の相続の場合、被相続人(亡くなられた方)の本国の相続法も調べなければなりません。アメリカでは州により、インドではその方の宗教により法律が異なります。外国の行政当局などから日本の官庁に認められる証明書類を取り寄せることも容易ではありません。また、家族の国籍がバラバラということも珍しくはなく、一件の登記申請のために数カ国分の書類を準備しなければならないケースもあります。
そして一番の難関は、時間やコストをなるべくかけずにこれらの問題をクリアしなければいけないことです。当法人の顧客は大企業だけではなく、ベンチャー精神は旺盛ながらも資金力の余りない方、日本で普通の暮らしをされているご家族からの依頼も多いことがその理由です。
これまで私たちは熱意と頑張り、依頼者ご本人を含む様々な方との協力、そして採算度外視のボランティア精神でなんとかで困難を乗り越えてきました。これからも、外国人の皆様が日本で安心して生活し、資産の形成ができるようお手伝いをしていきたいと考えております。