相談事例
CASE
2022.7 田代 の回答
在留資格「永住者」は永住ビザとも呼ばれ、在留期限がなく、就労に制限がないことから究極の在留資格と言われ、出入国在留管理局に申請して取得します。ただ、在留期限に制限がなくなったとはいえ、在留カードは7年毎に更新する必要があります。
永住者を取るメリットは、上記の他に、長期のローンが組める(住宅ローンなど)、仕事や身分関係が変わっても在留資格の変更をする必要がないなどがあります。
この在留資格を取得するには以下の3つの要件をクリアする必要があります。
1. については、法を守ること。
2. については、家族が普通に暮らしていけるだけの収入があること。
3. については、日本への定着度などで、原則は10年以上の在留歴で申請時に最長の在留期間(注1)を持って在留していることが必要ですが、例外もあります。留学生として入国した方は、10年以上の在留歴で、就職して5年以上、申請時に最長の在留期間を持って在留していれば申請可能です。また、日本人、永住者、特別永住者(注2)の配偶者は実体を伴う婚姻生活が3年以上あり、引き続き1年以上日本に住んでいれば申請可能となります。過去にマスコミに多数報道された偽装結婚はこの特例を利用し、いち早く「永住者」を取得しようとしたものです。
近年では、1. に関しても非常に厳しく審査されており、犯罪歴、交通違反歴に加え、税金や年金の未納状況についても督促状が何回出たかまで詳しく調査されています。この調査は申請した本人に限らず、同居の家族にまで及びます。
永住申請に際し、税金や年金の審査が厳しいと聞き及んで、慌てて納入した場合は100%不許可となります。長年支払わなかった年金等をまとめて支払い、即、永住申請すれば審査官から見れば魂胆ミエミエです。永住取得後に再び支払わなくなるケースも多いようで、益々審査が厳しくなります。未払年金等がある方は、計画的に準備することをお勧めします。転職した方や給与所得者から独立して自営業になった方は要注意です。
ここで、永住と帰化とはどう違うのか。どちらも日本に長く住めるという意味では同じですが、帰化は日本国籍を取得するため、たとえ重罪を犯しても国外に強制退去させられることはなく、どれだけ長く外国に住んでいても日本に帰国することができます。また、選挙権、被選挙権があることも永住との大きな違いです。永住では国籍は変わりませんので外国籍のままです。
(注1)在留期間は、通常1年~5年(3年)を在留内容に応じ、付与されます。永住申請のためには、申請時に最長の在留期間が付与されていなければなりませんが、この在留期間は在留資格により最長期間が異なります。
(注2)特別永住者とは、入管特例法に定められた在留資格を持つ外国人のことです。具体的には、第二次世界大戦以前から日本に居住して日本国民として暮らしていた外国人で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を喪失した方々(韓国・朝鮮人、台湾人)とその子孫が対象です。特別永住者には在留カードではなく、特別永住者証明書が交付されています。