相談事例

CASE

相続人が外国に住んでいる場合や海外在住で外国籍になっている場合、不動産の相続手続きはどうすれば良いですか?署名証明書や在留証明書についても教えてください。

2017.7   担当者 の回答

不動産の相続登記手続きに必要な書類は、原則として「相続人を確定するための戸籍や除籍」「被相続人の住民票の除票」「相続人全員の印鑑証明書付の遺産分割協議書(遺産分割協議により誰が不動産を取得するか決める場合)」「不動産を取得される方の住民票」などです。

このような場合に問題となるのは「印鑑証明書」、「住民票」、国籍を離脱した元日本人の戸籍をどうするかということです。

○ 相続人(日本国籍)が海外に居住されている場合

居住地の日本大使館又は領事館(以下、「在外公館」といいます。)で署名証明書在留証明書を発行して貰い印鑑証明と住民票に代えることができます。在外公館で印鑑登録をし、印鑑証明書を発行して貰らえる場合(対応は在外公館により異なります)は、印鑑証明書を「住所を証明する書類」として使用できますので、住民票は不要です。

○ 相続人が海外在住で外国籍を取得されている場合

在外公館は、原則として日本国籍を有する方にのみ署名証明書や在留証明書を発行します。ただし、元日本人の場合例外的な措置として「居住証明書」を発行して貰える場合があります。これは住所証明書として使用できます。しかし、署名証明書は発行して貰えませんので、居住地の公証人(notary public)に自分のサインを証明してもらい、それを印鑑証明書に代えることができます。尚、韓国や台湾のように印鑑証明書の制度がある国もあります。

国籍を離脱している場合、戸籍から消除されていますから、現在の戸籍を添付できません。相続人全員からその人が相続人であることに間違いないことの証明をしてもらう必要があります。

Q1:署名証明書とはなんですか?

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申請者の署名(及び拇印)が確かに在外公館の領事の面前でなされたことを証明するものです。海外に居住する日本人は印鑑証明書を取得することが難しいため、在外公館において印鑑証明書に代わる書類として署名証明書を取得することができます。

証明の方法としては、以下の2種類です。

申請者が領事の面前で署名した私文書(例えば遺産分割協議書)と在外公館が発行する証明書を合綴し割り印する

申請者の署名を単独で証明する

いずれも印鑑証明書に代わるものとして不動産登記に使用することができますが、署名の照合が困難な場合もありますので、当方では①の方法をお勧めしております。その場合は本人の住所が記載されていないので、在留証明書も一緒に取得する必要があります。

Q2:遺産分割協議書は一枚の用紙に相続人全員が署名・捺印(実印)をしたものでなくても良いですか?

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家族が各々遠方に住んでおり、一通の遺産分割協議書を順番に回すのは困難な場合には、同一内容の遺産分割協議書に相続人が別々に署名捺印することで協議が成立したことを証明することができます。従って、海外に居住する相続人は遺産分割協議書に署名証明を受け、日本に居住する相続人は別の遺産分割協議書に署名捺印をすることも可能です。

Q3:居住地から在外公館までは遠く、費用も時間もかかってしまいます。別の方法はありませんか?

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在外公館が近くにない場合には、居住地の公証人(notary public)に自分の署名(サイン)を証明してもらい、それを印鑑証明書に代えることができます。

Q4:在留証明書とはなんですか?

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在留証明書とは、海外に居住する日本人が「現在どこに住所を有しているのか」、あるいは「過去にどこに住所を有していたのか」を、その地を管轄する在外公館が証明するものです。不動産の相続登記を申請する場合、不動産を取得される方の住民票が必要(住所と氏名が登記事項となるため)となりますが、遺産分割協議により海外に居住する相続人が不動産を取得される場合、在留証明書は住所を証する書面として住民票の代わりに使用することができます。

Q5:海外に居住している日本人が一時帰国している場合、日本に住所がないため日本で住民票や印鑑証明書を取得できません。どうすれば良いですか?

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お近くの日本の公証役場で私署証書の認証(署名や押印が作成者のものであることを公証人が証明する)を受けることにより、それらに代えることができます。この場合、委任状や遺産分割協議書の署名を公証人に認証して貰うことにより登記申請することができます。

 外国籍を取得された元日本人の方はこの方法を利用することはできません。国籍のある国の官憲の認証が必要ですので、日本にあるその国の在外公館で認証してもらうことになります。例えば、アメリカ国籍となった人はアメリカの大使館か領事館に行かなければなりません。ただし、在外公館によっては日本に住所のある自国の人の認証しかしないところ、認証業務を行っていないところ、予約制のところ等様々ですので事前に調べてから出向いて下さい。

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