相談事例
CASE
2020.1 担当者の回答
平成31(2019)年4月から建設キャリアアップシステムが正式にスタートしました。この制度は建設業の「見える化」に主眼が置かれています。
これまで技能者の就業履歴は、せいぜい技能者本人かその所属会社が紙媒体として保管しているかどうか、というレベルのものでした。これでは技能者の経験を所属会社以外の第三者に示すことは難しいといえます。ところが、建設キャリアアップシステムに登録してカードの交付を受けると、現場でカードをタッチするだけで就業履歴を蓄積できます。また、カードには就業履歴だけではなく、保有資格の登録も可能ですから、技能者の経験だけではなく資格や能力も客観的に第三者に示すことができます。これによって、技能者の能力に見合った給料の支払がなされることが期待されています。
そもそも、建設業界は若者離れが進んでいる業界です。その理由としては、50歳を過ぎた辺りをピークに給料が下がっていく傾向にある点があります。建設キャリアアップシステムは技能者の経験を正当に評価することで、体力の衰えが表れ始めた50歳過ぎからでも給料が上がる業界に変えていくことを目的としています。そうすることで、若者にとって将来の展望が開けた業界と認知され、若者が建設業界に入ってくることが期待されています。
建設キャリアアップシステムは、会社にとってもメリットのある制度です。システムに登録される技能者の情報は、現場入場時に作成する書類の項目が想定されており、その内容がデータで提供されます。また、入退場時間の管理や建退共の印紙貼付もシステムに任せられるようになります。これらによって、事務作業の効率化が図れます。さらに、今までの施工履歴を示すことや優秀な人材を育成することで、受注機会の拡大も見込めます。
また、平成31(2019)年4月に新たに創設された外国人の在留資格である「特定技能」で建設業者が外国人を受け入れる場合、建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられました。これに加えて、令和2(2020)年1月から建設業者が技能実習生を受入れる場合も、建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられました。建設業界は働き方改革の渦中において、1つの転換期にあるといえます。