相談事例
CASE
2020.1 松尾の回答
配偶者居住権は原則として配偶者に対し自宅建物に居住することを終身認める権利ですが、配偶者短期居住権は相続開始から一定期間だけ生存配偶者の居住権を保護する制度です。
配偶者短期居住権の存続期間は次のとおりです。
(1)居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合、次のいずれか遅い日まで
①遺産分割により「居住建物を誰が相続するのか」が確定した日
②相続開始の時から6か月を経過する日
(2)(1)以外の場合(第三者への遺贈、配偶者の相続放棄等)は、居住建物取得者による配偶者への「配偶者短期居住権の消滅申入れ」の日から6か月を経過する日まで
つまり、少なくとも相続開始から6か月間は住んでいた家に住み続けることが可能です。
これにより配偶者が遺産分割協議や第三者への遺贈により自宅を取得できないケースでも、自宅を退去するまでに6か月の猶予期間があり、落ち着いて新居を探したり転居の準備をすることができます。
また、この権利は配偶者に当然に認められる権利ですので、被相続人が反対の意思(第三者への遺贈)を示した時でも認められます。
相続開始時において、生存配偶者が被相続人が所有する建物に無償で居住していれば認められます。
配偶者短期居住権は上記要件を満たせば第三者に対して当然に請求できる権利であり、期間も短いことから、配偶者居住権と異なり第三者に対抗するための登記は必要ありません。