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CASE

【民法大改正】売買契約における買主の権利はどう変わりますか?

2017.1   松尾 の回答

これまで、デパートで買う新品のエルメスのバッグと質屋で買う中古のエルメスのバッグでは、隠れた欠陥があった場合の取り扱いが異なっていましたが、中古と新品の扱いが同じになります。

 現在の民法では、売買の目的物に「隠れた瑕疵」(不具合)があった場合には、買主は売主に対して一定の責任を追及できる旨の規定があります(瑕疵担保責任)。ただし、この規定は、売買の目的物が特定物(中古品や土地建物など物の個性に着目した代替品のない物)か不特定物(一般に販売されている製品など代替性がある物)かによって請求できる内容が異なり、それについて学説の対立もあるなど、非常に分かりにくい規定になっています。

 例えば、新品のバッグを買った時、欠陥があった場合は修理の請求や交換を請求できます。それに対して、中古品の場合は、買主は現在の状態を納得して買ったのだから、たとえ欠陥があったとしても売主はその状態で引渡せばよい、たとえ責任を追及できたとしても、契約の解除又は損害賠償請求に限られ、補修や代替物の請求はできないとされていました。

 そこで今回の改正では、「瑕疵」という難しい表現から「契約の内容に適合しない」という表現に変更します。また、売買の対象が特定物か不特定物かの区別をなくし、目的物の補修や代替物の引渡し、損害賠償の請求ができるものとしています。さらに、代金減額請求も認められています。なお、代金減額請求については、原則として「買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないとき」に限り請求できます。

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