相談事例
CASE
2014.1 担当者 の回答
身近な親族が病気になった場合や、あるいは万一、相続開始となった場合にどう対処したらよいのかについては、「縁起でもない」などと片づけず、真剣に話しあっておきましょう。現代の家族の様相はさまざまです。健康状態、判断能力だけではなく、問題が発生する前のお互いの関係がよいうちに親子で、兄弟姉妹で、いろいろ確認しておいた方がいいことがたくさんあります。
子が成人してからも親が子を扶養していることがあります。子が若年無業者、フリーター、ひきこもり等の場合で、8050問題と言われ、80代の親が50代の子の生活を支えるという問題です。子の高齢化が進んでいます。家族だけでの解決は困難です。早目に市町村の「生活困窮者支援窓口」(窓口名は市町村で異なるかもしれません)等への相談に行かれることをお勧めします。
それと同時に、親の死後の財産管理について第三者に支援を託すことも一つの解決策となります。民事信託、財産管理等委任契約や成年後見制度の利用ができないか検討してみましょう。
そのためには、親が元気なうちに行動を起こす必要があります。
最近、妻は夫の介護を受けたくないが、夫は妻に介護して欲しいというアンケート結果が話題になりましたが、介護をする側も介護をされる側も家族の心の負担を少なくするために自分の要望を家族に事前に伝えましょう。
介護が長期化するようなことになったらどうしたいのか。入りたい施設の形態、受けるサービスや介護に希望はあるのか。その費用はどのように負担するかも大切な確認事項です。
葬儀の形態も多様化してきました。従来型の葬儀、家族葬、直葬か、宗派によらず無宗教葬とするか等。納骨も家族単位のお墓、合同墓、散骨等希望を事前に家族に伝え、話し合っておくといいでしょう。
離れて暮らす親の墓所はどこにあるのか、誰が管理していくのか、管理費はどう支払うのか、改葬・墓じまいを含め家族で話し合い、お寺にも相談してみる機会が必要かもしれません。
今はやりのエンディングノートは、法的効力はありませんが、遺言でいえば付記事項にあたり、本人の本音や切なる願望が垣間見え、親族の争いをなくす効果もあるといわれています。相続人となる人々も、久しぶりに会っていきなり問い詰めるのではなく、親孝行や親睦を兼ね、温泉旅行などのついでにゆったりお話しするのはいかがでしょう。
自分の財産や負債を書いておくと残された家族はずいぶん助かります。医療、告知や延命措置の希望も伝えておきましょう。別途、尊厳死宣言を残しておくと、家族は医師に迷わず伝えることができます。
相続までに何年あるかわからない、自分の老後費用の見通しも立たないのに、という方もいらっしゃるでしょう。退職金などまとまったお金があれば、家族信託を利用して、自分が生きている間は何ヶ月かに一度自分が生活費として受け取り、死後は葬儀代にいくら、残りは特定の相続人がいくらずつ受け取る、など自由な相続の設定ができる商品もあります。
また、賃貸不動産等の収益物件をお持ちの方が、管理者に不動産を信託財産として預け、収益は自分や特定の個人に帰属させることもできます。その際は不動産の名義が移ってしまいますが、例え本人が破産してもその財産は競売にかかることもなく、相続人の方に受益権が継承されますし、信託契約の際に、相続発生時の処分方法を定めることもできます。