相談事例
CASE
2025.1 田代の回答
現在、技能実習生として企業で働く外国人は、その後、特定技能に移行し日本でそのまま就労を続けることが多くなりました。しかし、制度主旨の違いで全ての外国人技能実習生が移行できるわけではありません。技能実習制度は、「人材育成を通じた国際貢献」が目的の制度ですが、特定技能制度は「人材不足の特定産業分野での人材確保」が目的の制度です。
つまり、技能実習生が働いている産業分野が、この特定産業分野でない限り、制度移行ができませんでした。
この問題を解決するために令和6年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。これにより、技術移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を抜本的に見直しし、「わが国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的」とする育成就労制度が創設されます。この改正法は令和9年に施行予定です。
制度の細かい部分の設計はこれからですが、育成就労制度の3年間で特定技能試験に合格すれば、自分の意思での転職も可能になり、特定技能2号に移行すれば在留期限に制限がなくなり、永住も可能となります。
新制度では育成就労外国人を労働者として適切に権利保護するとともに、産業分野を見直します(技能実習制度では91職種167作業でしたが育成就労制度では特定技能に準ずる方針)。育成就労制度と特定技能制度に連続性を持たせることで外国人が日本で就労しながらキャリアアップする道筋を明確化し、長期にわたり日本の産業を支える人材を確保することを目指すものとしています。
労働力不足の解消に繋がることが期待されている制度です。
出典 : 出入国在留管理庁ホームページ 育成就労制度の概要(PDF)をもとに作成しています。