相談事例

CASE

海外にいる日本人が遺言書を作成するにはどうすれば良いですか?

2018.1   担当者 の回答

遺言書には、主に①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言があります。

 

自筆証書遺言については、遺言の形式に沿って自書すれば世界中どこにいても作成できます。「遺言の方式の準拠法に関する法律」により、海外に住所や常居所がある人はその地の法に基づいた遺言も有効です。ただ、遺言者が亡くなった後、日本、あるいは海外の裁判所で検認手続きが必要となります。英米法系の国の検認手続きは日本とは異なり、裁判所でかなり長期にわたり煩雑な手続きが要求されます。

 

では、海外にいる日本人は公正証書遺言をどのようにして作成したらいいでしょうか?海外に在住の方が公正証書遺言を作成するには、大きく二つの方法があります。①日本に帰国した際に公証役場で作成する方法と、②居住されている海外の日本領事館で作成する方法です。民法984条にもその規定があり、「日本の領事が駐在する地に在る日本人が公正証書又は秘密証書よって遺言をしようとするときは、公証人の職務は、領事が行う。」と定められています。公証役場での保管、遺言内容の確実な実現のため、公正証書遺言をお勧めしているところです。ただ、領事館で作成する公正証書遺言は、形式がかなり異なり、日本で作成するような手続きでは進まない場合もあります。そのような場合には、まず万一に備えて自筆証書遺言を作成しておき、日本へ帰国した際に公正証書遺言を作成する、という方法でも良いでしょう。

 

それでは、相続財産が日本とアメリカ両方にある場合はどうしたらよいでしょうか?スムーズに遺言執行が行われるためには、日本の相続財産に関しては、日本法の方式により公正証書遺言を作成して、日本在住の日本人の遺言執行者を指定しておき、アメリカの相続財産に関しては、州法(例えばニューヨーク州法)の方式により遺言書を作成し、アメリカ在住のアメリカ人の遺言執行者を指定しておくのが最もよいのではないかと思われます。ただし、複数の遺言書を作成する場合は、内容に矛盾がないようご注意ください。

ページTOPへ