相談事例

CASE

代表取締役等住所非表示措置について

2024.8   山上

これまで自宅の住所が会社の登記簿により公開されている状態にあった株式会社の代表取締役、代表執行役または代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)のプライバシーに配慮するため、株式会社の登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(以下「登記事項証明書等」といいます。)に表示される代表取締役等の住所の一部を非表示にする措置を講じることが令和6年10月1日から可能になります。

当該措置が講じられた場合の登記事項証明書等の表示

代表取締役等の住所は最小行政区画である市区町村(東京都においては特別区、指定都市においては区)までしか表示されず、その後に続く番地等の詳細は記載されません。

記載例:

役員に関する事項

東京都千代田区 

代表取締役 ○○○○

令和〇年〇月〇日就任

令和〇年〇月〇日登記

当該措置の対象となる住所は、申出と併せて申請される登記によって記録される住所に限られ、過去の登記によって記録された住所については対象外です。重任登記や住所変更登記の場合、以下のように過去の登記による住所はそのまま下線付きで残ります。

役員に関する事項

東京都千代田区霞が関一丁目11

代表取締役 ○○○○

東京都千代田区

代表取締役 ○○○○

平成〇年〇月〇日就任

平成〇年〇月〇日登記

令和〇年〇月〇日重任

令和〇年〇月〇日登記

また、当該措置が講じられても、法律上の利害関係者については登記簿の付属書類の閲覧請求により非表示化された住所を閲覧することが可能です。

当該措置を講じた場合のデメリット

登記事項証明書等によって代表取締役等の住所の証明ができなくなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引などで別途法人の印鑑証明書等を求められたり、一定の影響が生じることが想定されます。そのため、当該措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な検討が必要となります。

※法務省ホームページ「代表取締役等住所非表示措置について」の注意書きより抜粋編集しています。

当該申出の手続き

当該申出ができるのは株式会社のみで、それ以外の合同会社や特例有限会社等については対象外とされています。また、申出のみを単独で行うことはできません。当該申出を代表取締役等の住所が登記されることとなる以下の登記申請と同時に行う必要があり、申出が適当と認められた場合に限り適用されます。

・設立登記

・代表取締役等の就任(重任を含む)または住所変更登記

・管轄登記所外への本店移転による新本店所在地における登記

当該措置を講じられた場合であっても代表取締役等の住所に変更が生じた場合には、その旨の登記を申請する必要があります。

当該申出を行う際に必要となる書類(原則)

■上場会社の場合

 株式会社の株式が上場されていることを認めるに足りる書面

 当該株式会社の上場に係る情報が掲載された金融商品取引所のホームページの写し等

■上場会社以外の場合

 (ア)株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面(次の①②のいずれか)

①当該申出と併せて行う登記の申請を受任した資格者代理人(司法書士等)によって当該株式会社が本店の所在場所において実在することを確認した書面

②当該株式会社が受取人として記載された書面がその本店所在場所に配達証明郵便等により送付されたことを証する書面

 (イ)代表取締役等の住所等を証する書面

住民票の写し・戸籍附票の写し・印鑑証明書・原本証明付運転免許証や個人番号カードの写し等

 (ウ)株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(次の①②③のいずれか)

①当該申出と併せて行う登記の申請を受任した資格者代理人(司法書士等)が犯罪収益移転防止法第6条の規定に基づき作成した確認記録の写し

②当該株式会社の代表取締役等の供述を記載した書面であって、当該申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又は前年度に公証人法第58条の2第1項の認証を受けたもの

③公証人法施行規則第13条の4第1項の規定に基づき定款認証に当たって申告した本人特定事項についての申告受理及び認証証明書であって、当該申出と併せて行う登記の申請が当該株式会社の設立の日の属する年度又はその翌年度に行われるもの

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